僕が泣き虫なんじゃなくてこの陽射しが素敵なんだと思います。

翔side

こうしてゆっくりと朝を迎えるのも悪くない

スマホを弄って時間を費やしてみたけど

珈琲が飲みたくなって

絡みつく腕をそっと外してベットから抜け出した

備え付けのポットで湯を沸かし

ドリップコーヒーに注ぐと

部屋に漂う香しい香り

「…もうあさ？」

「おはよ…」

香りに誘われたのか

やっと目が覚めたらしい

「じゅんものむ？」

「…ん…」

「ふはっどっちの『うん』？飲むの？」

「…ん…のむ…」

「おーけちょっとまってろな」

もう一度湯を沸かして

丁寧にドリップしている間に

ゆっくりと体を起こし

「ん…」

と背を伸ばしてから立ち上がり

ソファーに座って待ている

淹れたての珈琲をテーブルに置くと

「ありがと…」

「熱いからふうふうして」

「ふふっうん」

言いつけ通り

ふぅと息を吹きかけ

先ずは香りを楽しんで

「超いい香りだね…」

もう一度ふぅとしてから口を付け

「おいし…」

満面の笑みを浮かべてる

「よくねてたな？」

「うん…いっぱい寝た」

「ふふっ」

「え？」

くるくるの前髪と

跳ねている後ろ髪

身動きもせずに寝入ってたはずなのに

どうしたらそんなに寝癖がつくのか

ふはは

「寝癖」

「へ？あ…ほんとだ…」

明るくなった陽射しが反射する大きな窓に

自分の姿を見つけて

懸命に髪を撫で整えようとしている

「軽くシャワー浴びてきたら？」

「そ…する」

「な？きょうは早めのランチにしようか」

「そうだね」

半分も飲んでいないだろう

カップを置いて立ち上がった

「しょうくんもシャワーする？」

「じゅんのあとでいいよ」

「うんわかった」

「…一緒に浴びるか？」

「あ…浴びないしっ」

昨日の事を思い出したのか

みるみるうちに顔を赤く染め

逃げるように浴室へと消えていってしまった

ふふっ

ふはは

ニヤけてしまうのも仕方がない

じゅんが俺が思った通りの反応をするんだから

スマホを手にすると

「早めのランチが出来るところは…っと」

リサーチをして待っていた